本当の意味で応援すべき
中国に社会人が本科留学する場合、もう大人なんですから本人の自己責任です。親があれこれ口をだす年じゃありません。
一方、高校生が卒業後に本科留学する場合、こちらは口を出さないというわけにはいきません。親がお金を出すんですから。最終決定権があるのは子供ではなく、お金を出す親です。
子供から本科留学をしたいと言い出したならば、頭ごなしには否定せず、まずは材料を集めてあげるべきです。
中国に本科留学した場合、どんなメリットがあり、どんなデメリットがあるのか。どんなリスクが想定されるのか。高校生では情報収集に限界がありますので、その部分で応援してあげるべきです。
そして、子供がデメリットやリスクを十二分に理解し、それでも挑戦する、死ぬ気でやるというならば、送り出してやっても良いのではないかと思います。
学歴ロンダリングはできない
問題は親が積極的な場合、特に、日本で大学入試に失敗した子どもに対し、中国の大学への進学を勧めるケースです。日本でろくな大学に入れないくらいなら、中国の大学に留学したという学歴を作る。いわゆる「学歴ロンダリング」です。
よく考えてください。日本は少子化が進み、大半の大学は学生募集に四苦八苦しています。AO入試なんていうインチキをやったり、なかには定員割れで応募すれば全員合格する大学もあるほどです。
そんな今の日本で大学入試に失敗したのはなぜか? 言うまでもなく高校3年間ろくすっぽ勉強してこなかったからです。
今までろくに勉強してこなかった子供が、中国に留学したら見違えるように勉強すると思いますか? そんなのありえないじゃないですか。今までの3年間と同じように勉強しませんよ。
語学習得って本当に大変なんです。日本の下位大学にすら合格できなかった子が、4年間も地味にコツコツ勉強を続けて、スキルと呼べるだけの中国語力を身につけることができるか? 4年間辛抱することができるか? 無理ですよ、ほとんどの子は。
覚悟させられるか?
中国留学に奇跡なんてありません。今まで勉強してこなかった子は、中国に行ったって勉強しません。中国語を身に付けるどころか、親の目の届かないところで遊びだけ覚えて、何も身に付けずに帰ってくるだけです。
みんながみんな、生まれ変わって帰ってくるわけじゃないんです。誰もが見違えるように立派になって帰ってくるんじゃないんです。そんなの幻想です。
語学習得というのは本当に地味な作業なんです。地道にコツコツを4年間辛抱して続けなければ身に付きません。そのためには、何よりも本人が本気で中国に留学したいと思うことが必要です。親がいくら思ったところで、本人の代わりに単語を覚えてやることはできないんですから。
ですので、子供に中国に本科留学させたい、本科留学させて成功させたいと思うならば、子供自身に留学させたいという気持ちを持たせなければなりません。それ以外に留学を成功させる方法はありません。
もしその気にさせることができないならば、安易に中国に留学させるべきではありません。何も身に付かずに日本に帰ってきて、不幸になるのは親ではなく子供です。そうなるくらいなら、親元において浪人させ、1年間尻を叩いて勉強させて、日本の大学に入れてやったほうが本人のためなのではないでしょうか?