中国留学で身に付くもの
中国に本科留学することで身に付くものは、なにも中国語や専門科目の知識だけではありません。それ以外にも身に付くものはありますし、ある意味、そういったもののほうが価値は高いかもしれません。
まず、留学すると中国に限らずいろんな国の人と交流することになりますので、国際性が身に付きます。これは日本ではなかなか身に付けることができないものです。
積極性も身に付きます。中国人は日本人と違って自己主張が強い民族です。彼らに揉まれることによって、日本にいる時とは違う積極性が身に付きます。
また、親元を離れて一人で生きていくわけですから、自立心や忍耐力、独立心といった、いろんな意味での人間力も身につくでしょう。
これらは長い人生の中で必ず大きな意味を持ってくる無形の力です。
身に付かない人もいる
でも、国際性や積極性、人間力といったものが、中国に留学すれば誰でももれなく自然に自動的に身に付くというわけではありません。
例えば、いつでも日本人とばかりつるんでいると、国際性なんて身に付くわけがありません。中国人と自ら積極的に交流しないと、彼ら並みの積極性なんて永遠に無理です。
私は数百大学で授業風景を見てきましたが、中国の本科の授業は教員が一方的に話す講義形式がほとんどです。ですので、授業に出ていれば自然と積極性が身に付くなんてありえません。
漢語本科の授業は少人数制で発言機会も豊富です。ですが、それは授業全体で豊富という意味です。100の発言機会があったとして、10人の学生が平等に10ずつ機会を得るわけではありません。
積極的な学生が100のうちの70くらいを独り占めする。積極的にドンドン発言するのは彼らだけなわけですから、いくら授業に出ていても積極性は身に付きません。
漢語本科は甘えられる
特に危ないのが漢語本科です。漢語本科の学生は外国人留学生だけです。彼らとだけで狭い世界を作ってしまい、中国人と交流しなければ、中国人の積極性なんて身に付きませんし、中国人の考え方や風習や文化も永遠に理解できません。
さらに、仲の良い日本人だけでコミュニティを作ってしまったら。日本で日本人とだけ交わる代わりに、中国で日本人とだけ交わっているだけのことです。日本と変わらないんですから、国際性も人間力も大して身に付かないのは当たり前のことです。
中国に本科留学すれば、人間力や国際性、積極性といった、日本にいるだけでは身に付かないものを身につけることができる。そのこと自体は間違いのない事実です。それどころか、それらを身に付けるのには最高の環境でしょう。
ですが、留学すれば自動的になんの努力もなしに身に付くわけでもありません。やっぱり自分から主体的に動かないと身に付かないんです。
中国への本科留学は、人間性や国際性、積極性を身につける絶好のチャンスです。自ら一歩踏み出して、最高のチャンスを活かしてください。